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2015年06月03日

大分県立美術館、行ってきました。

4月25日にオープンしたばかりのミュージアム、
大分県立美術館(OPAM)に行ってきました。



あちらこちらから良い評判を聞く話題の美術館。



板茂氏設計というのもその話題のひとつ。
外観から期待が高まります。



エントランスを入ると全面ガラスによる自然光を取り入れた広々とした空間に
巨大な風船の形のオブジェ。入場者が触ったり押したりすると実際に風船のように動きます。



現在行われている開館記念展は
”モダン百花繚乱「大分世界美術館」”
というタイトル。
いったいどんな展示なのか?
作品の写真撮影はもちろん出来ないので
お伝え出来ないのが残念!


素晴らしく楽しめる展示です。それもどんな人でも。
もともとの大分県立美術館の所蔵はもちろん、
国内外のあらゆる美術館から絵画、工芸、彫刻、などが
時代もジャンルもミックスしながらも
緻密な計画とストーリーで競い合うように並んでいます。
教科書に載っている名画もあれば
千利休作の茶杓があったり、
イッセイミヤケのプリーツのドレス、
その横には奈良美智の女の子がこっちを見てる・・・
よくある絵の横の小さな解説文も詩を読むようで楽しい。
キュレーターの方の力量と情熱に拍手を送りたくなりました。




1Fの作品を観終わると、展示はさらに3Fへと続きます。




2Fから外へは渡り廊下を通り、歩道橋へ。




3Fに上がると、




中庭にオブジェが。




2Fとは天井が変わり、大分県の伝統工芸で有名な竹かごをイメージさせるデザイン。
材質は大分の日田産の杉でしょうか?
オープンして間もないせいか、シダーウッドの香りがします。
よく見ると、編んだ竹籠のようにゆるやかにカーブを描いている。
展示の中にも竹工芸の名品が数多くあるのですが、
アーティザンへのリスペクトを感じます。



ちなみにショップのカウンターにも
このように編みかごのモチーフ、
使われています。







大分らしさはこんなところにも。
青畳の香りもまだしてましたよ、この長椅子。





こちらは直線的で細かなディテールの脚、
竹で出来ています。
こういうところ、個人的に見つけては喜んでしまう(笑)





そればかりでなく、こんな長椅子も。
クラシカルでモダン、シンプルでエレガント。
「大分世界美術館」のテーマにぴったりな
時代と国を超えたデザイン。




2Fはさらに板茂デザインの世界が。
こちらはライブラリー。
板茂といえば、紙管の建築が有名ですが




こちらはカフェ。紙管で出来た長椅子、
壁も輪切りの紙管をあしらって。
(偶然座っている方のドット柄とシンクロしている!)



居心地の良い美術館、地元の人も気軽に集まる様子が
ほほえましく、よりどころとしての公共の建物の役割、
そして今回の私のように県外からも訪れる観光の目玉としての
役割の大きさ、その成功例を目にしました。


企画展示の他にも常設展示もオススメです。
あらためて知ったのですが、私が昔から好きだった画家
福田平八郎は大分の出身、この美術館にも多くの絵がありました。



大好きな作品「雨」
(東京国立近代美術館蔵)






この日の朝、湯布院から向かったのですが、




朝ごはんを食べていたカフェの窓から
見下ろすと、ちょうど瓦に雨粒が。





いい一日でした。












  


2015年04月01日

床の間にしつらえる、ということ。

4月になりましたね。

私の住む福岡では早くも先週末(3月29日)に桜の満開宣言がありました。
すっかり春到来です。いい季節になってきました。





我が家の和室の床の間も桜の季節に合わせて模様替えしてみました。
有田の仁窯・小畑祐司さんの八重桜の花入れ。
そしてこの家の祖父が持っていた和歌の短冊「春夜」という題。
(でもなんと書いてあるかはじつは読めません、すみません(笑))


この床飾りにする前は季節的にも雛祭りの飾りにしていました。



私の住むこのあたりでは雛飾りは春分の日過ぎから旧暦のおひなさままで、
約2か月ほど飾ることが多いので、前半は木目込み人形のお雛様を




後半は義母が集めていた雛道具の「貝合わせ」をアンティークの帯に散らして。
両側に下がるのは、こちらの地方で「さげもん」といわれる吊るし飾り。
ひとつは義母の手作りのちりめん細工、
もうひとつは私の祖母の家から譲り受けた筑後地方の柳川毬のさげもんです。

”築45年の我が家”にはさすがに古い家だけあって季節の絵をあしらった掛け軸や置物など何やらいろいろありまして、
きっと昭和の頃の家はみんなそうだったのでは?
それらを床の間に飾ってあげないと、と思ってしまうのです。とくに雛人形などは箱から出してあげないとかわいそうな気がして。




それにしても考えてみれば、床の間というのは飾るだけで季節感が一気に演出できる、小さいスペースながらも特別な空間ですね。

和室ながらのシンプルな空間。




今年の初めに呼んだ本、
岡倉覚三(天心)の「茶の本」。
茶の湯について書かれたものですが、
原本はなんと英語、そして
翻訳されたのも昭和初期ということで
ちょっと難しかったのですが。



「茶室はただ暫美的感情を満足さすためにおかれるモノを除いては、全く空虚である。」

という一文があります。

我が家は茶室ではありませんが、和室も同じ、基本は主張のないシンプルな空間、しかし床の間に飾るものによって季節ばかりでなく、時には思いやメッセージを伝える演出の場にもなります。

普段は空虚というのが、西洋のインテリアにはない感覚。
空虚だから、今や「使い道の定まらない空間」に和室はなっているのかもしれませんが。

そもそもは位の高い人が座る場所が今の床の間の起源といわれています。
飾り物などをしてその場所を拝み見るという昔の人の風流な習慣、
ちょっとロマンチックだな、と感じました。


  


Posted by nobo at 01:49Comments(0)古いウチのこと

2015年03月31日

築45年の耐震について考える。

10日ほど前になりますが、住宅の耐震セミナーに参加してきました。



この日(3/20)は、私の住む福岡市で10年前に「福岡西方沖地震」が起こった日。
このセミナーというのも、その日に合わせて住宅の耐震の意識を高めてもらおうと
一般市民150人を募集して開催されたものでした。

東日本大震災の後、関東や東海地方に比べて安全なように感じられる福岡。
でも考えてみればたった10年前に震度5~6の地震があったのを、自ら経験しながら忘れそうになっていました。




3時間に及ぶセミナーでは地震のメカニズムから福岡市内をはしる断層についてのレクチャー、
そして住宅の耐震基準についての説明。

その中でも"築45年の家に住む"私にとって最も興味深い、というか耳の痛いお話というのは
「昭和56年(1983年)以前の住宅は現在の耐震基準の前の前の基準、
よって現在の耐震基準では95%の家が基準を満たしていない。」
という事実。

我が家も当然それに当てはまるでしょう。




福岡市では区ごとに「揺れやすさマップ」というリーフレットを作成していて、福岡市をはしる警固断層からの距離や地盤から自分の住む場所の予想震度がわかるようになっています。
ちなみに我が家のエリアは「耐震性の低い木造住宅では、倒壊するものがある。」-それはまさにウチです。




そこで、福岡市では対策として、一件3000円の個人負担で住宅の「耐震診断」をしてくれる制度があります。
それから耐震補強の工事が必要な場合には補助金の制度もあり、4月からは福岡県内の全自治体でも同様の補助金制度が整うのだそうです。




自分の命だけではなく、地域全体の安全のためにも、地震に対して我が家を考えるいい機会になりました。

  


Posted by nobo at 23:52Comments(0)古いウチのこと

2015年01月20日

コルビジェLC2 張り替え、その後。

昨年のブログにてル・コルビジェの椅子の張り替えをお伝えしておりましたが
(詳しくは「コルビジェLC2 張り替えます」をご覧ください。)
その後をお知らせしていませんでした。失礼いたしました。



というわけで、このように張り替えられました。
張地はもちろん、中のクッション材も交換していただいたので、



以前(写真左)と見比べても一目瞭然、パンと張ったカンジです。



生地は粗いツイードのような生地なので肌触りもサラッと、クリスピーなカンジです。
ベースの茶の生地にブルーグレーと白の杢糸の立体的な織地なので汚れも目立ちにくい。
ただし、布地ではありますので、張り替えてすぐに汚れ防止を兼ねて自分で撥水スプレーをかけました。
実際張り替えて3か月あまり経ちますが、生地表面が寝ることもなく張り替え直後と変わらない状態を保っています。

張り替えの生地の選び方は好みもいろいろだと思いますが、
革張りはともかく、布地の場合はオールシーズン心地よい肌触りであること。
例えば冬に生地を選ぶと、どうしても温かそうな冬物の生地のものが良さそうに感じて、夏になるとそれが見た目にも暑苦しく感じたり。
ソファは肌触りが座り心地にも直接影響するので、
なるべく肌に触れて、プロのアドバイスももらいながら選びましょう。


こうして我が家のLC2はクッション部も新たになり、
新品同様に生まれ変わりました。
もともとクッション以外はメタルのフレームしかないこの椅子、
クッションを張り替えれば、半永久的に使うことができます。




右の写真は以前訪れた
コルビジェ設計のパリ16区の
ラ・ロッシュ邸で撮ったLC2。
1928年発表のこの椅子が誕生して90年近くなるのにいまだに生産され、世界的に使われています。
(クッションがへたった感じも歴史を感じていいものですね、張り替えた私が言うのもなんですが(笑))




前回のブログ「アメリカ西海岸: 風土と建築・インテリア」
で最後に建築家フランク・O・ゲーリーの言葉を紹介しましたが、
有名な椅子の中には著名な建築家のデザインによるものも多い。
確かに名作として残る椅子は”Yearning for Timelessness" の建築家の願いを叶えているのかもしれません。  


2015年01月18日

アメリカ西海岸: 風土と建築・インテリア

今年もスタートして半月あまり、
少しご無沙汰しておりましたが、今年も当ブログ「築45年の家に住む」
宜しくお願い申し上げます!

2014~2015年の年末年始、アメリカの西海岸に行ってきました。
初めて行った土地でしたが、アメリカ本土の今をじかに感じる
建物・店舗やインテリアなど、見てきたものをご報告します。




まずはロサンゼルスの中心街。年末年始ということもあって
人通りが少なく、閑散とした乾いた空気の中、高層のビルが立ち並ぶ。
東京やニューヨークとはまた違うような。
冷たい印象のはずのガラスや金属のビルにカリフォルニアの日差しが反射して
シャンパンゴールドに輝く姿が美しい。





その近未来的な建築群の中でも有名なのが
ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール。
建築家フランク・O・ゲーリーが3万枚ものスケッチを描いたといわれる
特徴的なデザイン。



さすが街のランドマークだけあって、
ちょうど建物正面では
結婚式の前撮り?が行われてました。
こんなクールな背景でウェディングの
撮影というのがおもしろい。














ロビーに入ると、素材は白い壁と木に代わりながら外観のカーブがさまざまな
方向・角度に伸びていてる。有機的な形、というよりもさらに図案化されて、
でも違和感も感じない。
ちょうどヴァイオリンなどの弦楽器の形状にも似た、優雅で機能的なカーブなのではと思いをめぐらされる心地よい空間でした。

コンサートホールには入れませんでしたが、音響は素晴らしいとの事、
ちなみに日本人の音響設家・豊田泰久氏が手がけられたそうです。







もうひとつロサンゼルスで行ったのがゲティ・センター。
リチャード・マイヤー設計によるもの。


白い建築が特色の建築家らしく、
白亜の要塞のような姿の建物、
ここでも整然とした空気が流れています。
さらにこのゲティ・センターは
山ひとつが敷地というほどの広大さ、
ガーデンからはロサンゼルスの街が一望できます。





石油王・ポール・ゲティの所蔵した絵画やヨーロッパの装飾美術などが
入場料無料で開放されています。
老若男女、観光客も市民も気軽にレジャー気分で一流の美術に触れられて、
なんとゴッホやレンブラントの絵画も写真OK。懐の深さなのでしょうか?









宿泊したのはロサンゼルスから
車で30~40分のサンタモニカ。
ビーチが目の前、まさに
カリフォルニア、というイメージ。






宿泊したOceania Beach Club Hotel。
ファザードには温暖な土地らしい多肉植物などの
グリーンがあしらわれています。
大通りに面しながら、こんな豊かな緑。
他のホテルや住宅でも行き届いたガーデニングが施されて、
ロサンゼルスとはまた違う雰囲気です。





レセプションから中に入ると、温水プールのオープンエア空間。
街中のリゾートならでは。




ちなみにホテルの部屋はこんなかんじ。
ミントグリーンの壁、かわいくてちょっとポップな
子ども部屋のような雰囲気が楽しい。




広い部屋の一角はこのようなスタディスペース?
本当に楽しく勉強できそうです。




置かれている本、ボールに盛られたお菓子やコーヒーコーナー、
homyな演出で寛がせるというのも面白い。




実は旅をした時はちょうど何十年ぶりの大寒波!
だったのですが、日差しはやはり温かい。



そのビーチで海を眺めながらYOGAなんかもしたりして。
今では世界中のリゾートホテルで
アクティビティとして浸透していますね。

特にここサンタモニカではヨガウェアがファッションになっていたり、
オーガニックや日本の食材などが人気、
さらには”Farm to Table" いわゆる地産地消をうたったレストランなども多く、
ヘルシー志向のブームを強く感じました。





そんな中で立ち寄った町のナチュラル系レストラン。
店内もオリーブグリーンの色合い。
この色、ここ数年世界的に流行しているような。




あちこちに下げられているセシリア・マンズデザインのベル型ペンダント、
これも世界的な大ヒットですね。

日本のナチュラル系ショップのインテリアとちょっと違うのは、
やはり、より大人っぽい?ポップなようで重厚感もあり。
それはインテリアの素材もレンガや木、金属など食材同様、ナチュラルでホンモノを使う事。
それからアクセントとしてブラックなどの落ち着いた色で締まった印象を作る。
ナチュラル=シンプル=ミニマルからさらに発展して
豊かさやかっこよさを取り入れるところ、健康志向をファッションとして
楽しんでいるカリフォルニアの今の気分を感じます







打って変わって年越しはラスベガス!













砂漠の真ん中にニューヨークも
パリもベニスも作っちゃう。
これもまたアメリカの凄さ。
豊かで多様性があってそのどれもを楽しめる、
凄い国だとあらためて認識したのでした。









最後にウォルト・ディズニー・コンサートホールのブックショップに掲げてあった
フランク・O・ゲーリーの言葉を。
「建築とはその時代や場所を語るものでなければならない、
しかし時代を超える存在であってほしい」

消費大国アメリカは何を残し、何を新たに作っていくのでしょうか。
私達もこれから考えていかなければ。














Posted by nobo at │名作デザイン│その他のこと
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2014年11月25日

フランスでドアについて考える。



ちょっと前のことになりますが
10月にフランスに行ってきました。









以前にも泊まったことのある、オペラ座の近くのプチホテル。
改装されてちょっとクールでモダンになっていたのですが。




シンプルな白い内装の壁にペイントがされています。
一瞬だまし絵のような。
モールディングといわれるクラシックな建物によく見られる装飾部材を
さらっと描いています。
(ちなみに壁と天井の境目の装飾である廻縁は本物のモールディングです)



こちらもマロンカラーのフラットなドアに白で、ドアの装飾枠が描かれています。
陰影とかも結構上手に描かれてますね。



日本のホテルにはない、遊び感覚がいい。
しかもドアノブは真鍮だったりするので、安っぽくないのがポイントですね。




本物はこんなカンジ。重厚感と装飾性が歴史を感じます。
日本と違ってやはり壁も厚いので、それに合わせて
ドアの枠なども幅の広いモールディングが施されています。

現代のデザインになってシンプルでシャープな建築になったらドアはどうなるの?
その解決方法がペイント! 
となるのも芸術の都パリだから?




今回の旅はパリからちょっと足を延ばして
憧れのモン・サン・ミッシェルに行ってきました。










憧れは20年前から。
このBrittany (英語でブルターニュ地方のこと)という本を見て
いつかは行ってみたいと思っていたのです。











モン・サン・ミッシェルはもちろんですが、
インテリアはもちろん木や家具が好きな私には、
このモン・サン・ミッシェルのカフェのような重厚な石と大きな梁のある
ブルターニュの家を見たかった。
ざっくりとしていながら、温かい雰囲気。




そしてブルターニュ地方の主都レンヌでは、
ブルターニュ博物館に立ち寄りました。












そこに展示してあったのは、ブルターニュの古い家具やドアの扉。
圧巻です。
個人的にはやっと出会えた、感動のご対面!
こっそり涙、出そうでした。



分厚い一枚扉に施された細かい彫刻。
地理的にも、ケルト民族の影響がみられるデザイン。



惜しげもなくつぎ込んだ時間と技がいとおしさを感じます。



貴重な素材が生み出す迫力や職人の技の中には、今では再現できないものもあるかもしれません。
だからこそ古いものを残す、守っていくことも大切なのだけど、
古いものを新しくアレンジして、現代の人にカッコイイ!と思わせる
そのテクニックはさすがフランス!

こんなところにも学ぶところがありました。













  


Posted by nobo at 16:25Comments(0)その他のこと

2014年11月04日

築40年繁華街アパートを飲食店のような住居にする。

9月にリノベーションさせていただいた物件をご紹介します。



場所は博多の繁華街のど真ん中、築40年くらいは経つかな、という、
古いアパートの一室。広さは約50㎡。
出来た当時は和室6帖2部屋+DKの形だったもの。

今回のクライアントは同じエリアに飲食店を経営する方。
「お店の近くで寝泊りするスペースとして、プラス
親しい方にここで食事やお酒を出して気軽に楽しむ場所にしたい。」

というのがご希望でした。



先日お伺いしたところ、家具なども整い、お客様もいらっしゃっていて
すっかりお店のような雰囲気になっていました。
間仕切りの襖を取り払い、2間をダイニングとベッドルームが続きの間になっています。



もとは、ご覧の通りホント昔のアパート。
収納はすべて押入れ、建具は襖です。


キッチンもいわゆる集合住宅用の木製キッチン。








それをそのまま利用しました。
ただし、吊戸棚は撤去、あとは壁タイル、キッチン扉すべてブラックに塗装です。
レンジフードはシンプルなブラック色のものに取り換え
その横にはお鍋や器を置くため、耐水加工をしている木製棚を2段取り付け、
そこにIKEAでLEDのランプを棚下灯として設置。

今回は自宅でもなく、また賃貸の物件でもあるので、コストは掛けない、というのも課題でした。
キッチンを新しくするとかなりコストがかかりますので、
塗装でがらりとイメージチェンジ。
(キッチンまわりの塗装などはちゃんとオーナーさんに了解ずみです)
照明はいわゆる照明メーカーのものは使わず、
大型家電量販店で買ったスポットライトを使っています。
ダイニングはIKEAのペンダントを使用。




通常賃貸というのは、壁も無難な白、床も明るいフローリング調になっていたり。




で、クライアントはまずこの緑色の壁紙からインテリアのイメージをスタート。
床は全体をダークグレーのカーペットで敷き詰めることにしました。
このオリジナル感はさすが、お店をされているオーナーさんの感覚。



そしてコストは抑えた空間でも、そこにクライアントの収集した絵画が
ところどころに架けられると、とたんに空間がグレードアップします。



ちょっとこだわったのは、この「月見障子」。
いわゆる和室で下から開ける雪見障子の逆バージョン。
繁華街ながら、見上げると近くの公園の緑が望めます。
昼間の障子の明かりというのもいいもの。



それから、押入れの襖、ダイニング側は装飾を兼ねて唐紙にしました。

もともとあった襖や障子を活かした和の演出。




セカンドハウスとしての遊びもあり、ある意味実験的な空間。
クライアントの大胆な発想、
私も楽しくお仕事させていただきました。




時代も国も特定できないような、住んでいる人も女性?男性?
家のようで家でないような、ちょっと不思議で面白い
そんなアパートの隠れ家が出来上がりました。






  


2014年09月11日

コルビジェLC2 張り替えます。

今、我が家にあるル・コルビジェの椅子「LC2」を生地の張り替えに出しています。



20年ほど前に装飾美術で椅子の歴史を勉強した時から「いつかは欲しい」と思っていた椅子。
数年前に中古を譲り受けたたものだったので、張地も自分で選んだものではなく、いずれは張り替えようと思っていたのですが



クッションのへたりや



生地の擦り切れが気になってきました。




もちろん生地選びにはいろいろとこだわりました。
椅子の張地のメーカーからサンプルを数々取り寄せ、




でも結局はこの椅子のメーカーであるCassina のものを選びました。
それには訳があります。




生地の厚さが違うのです。
左側は一般の椅子のメーカーの張地。
右はCassina のもの。倍ぐらい厚いのがわかるでしょうか。
実際に張地の厚さというのは張ったときの仕上がりにどれほど
差があるのかはわかりませんが、
一般の椅子メーカーの生地を選んだ場合、
張り替えもCassina 以外のところにお願いすることになります。

ちょうど張り替えを検討していたころに、Cassina では
張り替えのキャンペーンだったため、
やはり専門のところで、純正の生地をお願いするほうが、
失敗もないだろう、と思い、お願いしました。
それに後日、預けた状態から中のクッションも替えた方がいい、
との連絡も受け、お願いしました。
そのあたりの判断もやはりメーカーならでは。

椅子の張り替えは、実際金額的にも
どうかすると安い椅子が買えるくらいの金額がかかります。
せっかくならば、ちゃんとした形で前よりいい状態で生まれ変わらせた
方が、後々長く大事に使えることになります。




LC2はフレームからクッションだけとれるのですが、
フレームごと預けて張り替えに出します。




ソファのなくなった我が家のリビングには
代わりにH・ウェグナーのピーコックチェアとYチェアが。
でもやはり、リビングにはクッション性のある
ソファでないとダメですね。
今回身にしみて感じました。




ちなみにCassina 福岡店は9/12にリニューアルオープンだそうです。

我が家のLC2 もそろそろ帰ってくる予定です。







  


2014年08月30日

カウンターのお仕事完了です。

前回のブログ「実は初のカウンターのお仕事です。」から随分経ちましたが、先週お店のお盆休みに合わせてカウンターの工事が終わりました。



これが完了の図。
5.4mのカウンターに合わせた、継ぎ目のないひな壇(「つけ台」とも云います)。
まるで変っていない?と思われるかもしれません。とくに木目も目立たないし、
実際にお客様でも気づかれないかたもいらっしゃるようです(笑)

以前は濡れても良いように、本物の木ではなく、塗装も施されたひな壇でした。
今回は下のカウンターに合わせた無垢の無塗装のイチョウ、
そして下のカウンターでも2枚の板をつなぎ合わせているのですが、
今回のひな壇は5.4m、つなぎ目のない一枚板です。




工事に入る前に、まずは製材した木を見に行きました。
イチョウの材は親戚の木材市場から。
今回製作をお願いしたのは、大川市と佐賀県の境にある諸富町にある「ウッディプロダクト」さん。
能の野外舞台も作られたこともある岸さんにお願いしました。
2枚の板を組んで作るため、板の向きやどちらの板を上面にするかなどを検討。

ひな壇の加工は取り付け工事の直前におこなわれます。
木の特性で、あまり早く加工をして放置しておくと、反ったりすることがあるからだそう。



3日前にはひな壇の大きさや角度の確認のため、別の材でサンプルが到着。最終確認です。



工事はお店のお盆休みの3日間で行いました。まずは既存のひな壇を撤去です。
両サイドの壁もほとんど傷つけることなく、きれいに取れました。



翌日に新しいひな壇到着。
5.4mもあるため、お店の入口からは入れられないため、
横の窓を一度はずし、お店の前の道路を大きくさえぎりながら?
なんとか挿入しました。お店を新築するときは、カウンターのような長いものは
先に入れておいて、あとから壁を造作すればよいのですが、
リノベーションなどでは搬入経路は重要な問題。
しかし何よりも職人さんの
「無垢でつくるんだから、継ぎ目なしでいきましょう」
という心意気があったから、それが可能になってよかったです。

現場に到着したら、なるべく両サイドの塗り壁に傷をつけず、綺麗におさめるために大工さんの指示が。
「5mm切って!」
すでに組みあがった大きなものをしかも端からほんの5mm切るのは至難の業では?と思っていたら、



家具職人さんがいとも簡単にのこぎりでまっすぐに切っていきます。



その5mmの断面を大工さんが壁に当てて、今度は壁に切り込みを入れ、



大工さんの号令で家具職人さんたちと息を合わせ、壁にひな壇を挿入し、



ストン、と見事に納まりました。私は見ていただけですが。
簡単に見えて、なかなか難しい、しかも失敗は出来ない、
さすが、職人の技です。




そのあとは、ひな壇をしっかり固定していきます。
木の力は強いので、後々反発しないように上からと横からも突っ張り棒を立ててしっかり押さえた後、ビスで固定する、というのも大工さんの経験からくる知恵。
私自身も大変勉強になります。




今回は以前と同じ形のものを新しく作るという、
「目に立たず」良い仕事をする、というのが課題でしたが、
後日お店のご主人より
「やっぱり綺麗ですね。カウンターの中から見ていると全然違います」
と言って頂き、ほっと一安心。

開店10周年という区切りにお店の一番大事なカウンターのお仕事を任されたことに感謝です。
本物の素材にこだわったお店にふさわしい、無垢そのままの素材で
お店の思いがますますお客様に伝わりますように。


  


2014年06月26日

実は初のカウンターのお仕事です。

このブログでもカテゴリーで作っているくらい、
いろいろなお店のカウンターを見るのが好きな私。
今回は作るお仕事です。




久々の木のコーディネート。
福岡市中央区薬院にある寿司割烹のお店です。

ご主人とはもう長いお付き合いなのですが、
気さくでありながら細やかで行き届いた心遣いと
こだわりの旬のお魚、お鮨はさすがに評判を呼び
最近では海外からも予約がはいるほどの人気店に。



厳密にいうと今回はこのカウンターの上にある,鮨を載せる「ひな壇」を
それまでの塗装を施したものから、本体のカウンターと同じように
本物の無垢の材で作り直したい、というご依頼を受けました。

本体のカウンターは厚さ20cmくらいはありそうな、一枚ものの立派なイチョウ。
あえて無塗装にしているため、毎日営業後に日本酒をかけて
大事に手入れを行ってこられた思い入れのカウンターです。
それならばひな壇もやはり材質は同じイチョウでいきましょう、
ということになりました。

もともと十分素敵で洒落た作りのお店ですが、
お店を開店して今年で10周年ということで
素材にこだわるお店だけに、これを機にひな壇も
ホンモノの材にしたいとのご主人のお考えです。




とは言っても一度出来上がっているものを作り直すのは
意外と簡単ではありません。
既存のカウンターは残しながら、ひな壇を取り壊し、新しく作ったひな壇を設置する。
壁に挟まれているため、壁への取り付け方、補修も含めて
大工さん、左官さんと現場で検討。



こちらは家具職人さん。
採寸しながら、どのように木を組み合わせて作るかも検討します。
無垢の木、しかも塗装もしませんので仕事のごまかしがききません。
今回は特に良い材料の扱いになれた職人さんをお願いしました。
これまでの10年の使い勝手も考慮し、
作るのは難しいのを承知で、既存のひな壇と同じ傾斜、細工で作っていただきます。

こういう仕事は職人さんの経験と知恵が何よりもたより。
よろしくお願いいたします!

私は、といえば、お店のご主人のイメージや思いが
そのまま実現できるように、木の材料をはじめ
仕事全体のクオリティーを保つこと。
そして、理想としては、新しくできるひな壇が
なんの違和感もなく、まるで昔からあったかのように
しっくりおさまること。
これも大事なコーディネートです。


リノベーションなどでガラリと新しいモノに作り変えることも楽しいのですが、長い間大事にしてきたものを維持して「目に立たない」けれどよりよいおもてなしをしたい、というお店の思いを大切にすること、それが今回のテーマです。
これからもブログで経過をご報告していきます。







  


2014年06月02日

京都で出会った something four ~KIRA KARACHO

先日、京都に行ってきました。
「大人になってはじめて京都の良さがわかる」といいますが、まさにそのとおり。
毎回いろんな発見をさせてくれます。
今回もその何か(something)に気づかされた旅でした。

今回は私が個人的に参加している、和の文化を伝えるNPOの活動イベントで出会った唐紙師の方の工房を訪ねるというもの。
江戸時代より唐紙を代々作り続けている「唐長」。その唐紙の新しい可能性を広げている唐紙師・トトアキヒコさんと千田愛子さんの「KIRA KARACHO」さんのアトリエは京都御苑の近くにあります。





Something Blue

はじめて訪れたアトリエ。
唐紙というと、襖紙に使われる紙として知られているため、
伝統的な工房の風情を想像していたら、
一歩入るとこんなモダンな風景でした。

正面に見えるのは



トトアキヒコさんの唐紙作品です。
独特の技法によるアート作品、そして
なによりこの青とも藍ともいえない、日没直後の空の色ようなブルー。
そこに伝統的な唐紙の模様、千鳥が飛んでいて、
絵の前に置かれているアルネ・ヤコブセンのスワンチェアと
デザインが呼応しているようにも見えます。
その手前に置かれている同じくヤコブセンのエッグチェアは
この絵と同じ深いブルー。
アトリエの空間はそのほかにもモダンなデザイン家具にあふれていて、
そこに唐紙が時代も国境も超えて心地よく共存しています。





Something New

このアトリエではすべてオーダで唐紙を製作。
色と文様の組み合わせでこんなに新しい印象になるなんて。

現代の家はシンプルで、おまけに最近は家具も置かなくなり、
その代わりに壁に収納ができると絵を飾る空間もなくなって
装飾的なものがだんだんなくなっていて、
と思っていたら、建具をこうやってアートパネルとして装飾すればいいじゃない!
って、まさにそれが襖なんですよね。

唐紙を丸いパネル状にした作品も沢山集めて飾ることでオブジェになってますね。
ただ現代風というだけでなくて、金や雲母を色にあしらったり、昔からの文様であることで重みも感じられます。




Something Old

文様は昔、考案されたものとは思えない大胆でユーモアさえ感じられるデザインも沢山。
でもそれぞれの文様には「五穀豊穣」や「子孫繁栄」など、先人の願いが
込められているのです。
そんな願いを家にさりげなく装飾として取り込むという考え方、
いつの間にか忘れてしまってるのかもしれません。
かえって新鮮に感じます。




Something Borrowed

そんな文様は代々大事に使われ受け継がれてきた版木から生まれます。
この版木はやがて次の代へと受け継がれてその時どきを飾っていく。
この連綿と連なる文様のように。





今回、このアトリエでもうひとつの目的がありまして。
毎月第四土曜日にここで行われている「唐紙に写経」体験。
写経のご指導の先生もNPO活動で講師として来られている先生なのです。
唐紙に字を、ましてお経を書くなど恐れ多い、と緊張しながらも
贅沢な空間で書に没頭する時間を得るなんて、まさに命の洗濯。


”Something Four” とは「なにかひとつ青いもの」「なにかひとつ新しい(白い)もの」「なにかひとつ古いもの」「なにかひとつ借りたもの」を
結婚する花嫁が身に着けると幸せになるというエピソードとして有名ですが、
このアトリエに身を置いて感じた「幸せ」、
ちょうどこの空間にあるものがSomething Four にあてはまる。

京都の街の魅力も古いものを現代の人々が大事に受け継いで新しいものを作っていく。
心地良さのヒント、それをこの旅で気づかされたような気がします。

  


Posted by nobo at 17:23Comments(0)その他のこと

2014年04月03日

貫禄のローズウッドカウンター:帝国ホテル「Old Imperial Bar」



少し前に東京に行った際に、あこがれの帝国ホテル「オールド・インペリアル・バー」を訪れました。
この日は伝説の“ステーキサンドウィッチ”を食べに。


昼でもこの雰囲気。
夜は常連のお客様がずらっと並び、ちょっと気後れするのですが、
昼、ここでランチは穴場です。

ご存じフランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテルの建物にあったバーを
そのまま残しているのですが、カウンターは手入れが行き届き、
今でもキズ一つなく艶めいていて、そこにピンスポットがシャープに並ぶ姿は
それだけでバーのかっこよさ、ダンディさ満点です。


ちなみにカウンターはローズウッド。(バーテンダーさんに木の種類をお尋ねしたところ、奥に引っ込まれて確認後に回答が。あまりこんな質問はされないんでしょうね(笑))
さすが!カウンターにこだわるお店は数あれど、ローズウッドはなかなかない。
ローズウッドと云っても色々種類はあるのですが、西洋で云うローズウッド、
いわゆるブラジリアン・ローズウッドは
今ではワシントン条約の絶滅危惧種に指定されているぐらい貴重な木材。

・・・それにしても昼間からビールです。
そういうビール付きサンドウィッチセットがあったのでつい・・・


バックバーに目を転じると、ライトの特徴であるマヤ文明の影響を受けたデザインの木彫のレリーフ。
昔の帝国ホテルの雰囲気がこのモチーフからも感じられる。


そして石で形づくられた六角形のシェルフ。シンボリックですね。


椅子やスツールの座面の形も六角形。
カーペットや照明のデザインもいかにもライトらしい。いいですね。




石や木、そして灰皿やグラスにいたるまで、すべての素材にに施されたライトのデザインは今でも忠実に守られています。
当時のままを体感出来るのは貴重なこと。
これは老舗だからこそ出来ること。維持することへの誇りさえ感じます。


そしてこのメニューも。添えられたマスタードひとつとっても、バーテンダーさん達が伝統のレシピで手作りで作られています。



昨年創業90周年を迎えた帝国ホテル。
年月を経てこの貴重な遺産がいつまでも存在し、そしていつまでもあらゆる人に開かれた場所であり続けて欲しいと願ったのでした。




  


2014年03月04日

木の素材の取り入れ方~とあるレストランで。

食に関するブログを書くのはやめたはずなのに?
(以前もう一つブログをしてまして)
先日行ったレストランの事を書きます(笑)

ちょっとした記念日のディナー!! というわけで
初めて行くお店、それもフレンチと聞いていたのでどんなお店なのか?
ちょっと気構えて行ったところ、店内に入ると想像は心地良く裏切られたカンジでした。



これ、我が家にあるものなのですが、何だと思いますか?
木の実から芽が伸びてきたようなフォルム。



ウラにはこれを作った方の名前が刻まれています。
KOZUMA、熊本県出身の木工アーティスト上妻利弘さんの作品。
バターナイフなんです。
気に入って知り合いのギャラリーで数年前に買ったもの。




お店の中はそのバターナイフをはじめ、テーブルに点在するオブジェや
プレートスタンドや壁に架かっているアートまで
すべて上妻さんによるものでした。偶然の出会い。



店内はシンプルであたたかい雰囲気。
肩肘張らないカンジが和ませてくれます。



前菜を待つ間、このオブジェをじーっと眺めていたり、手に取ったりして。
フォルムが有機的だし、まるで何も塗っていないような木地の仕上げが
素材そのままのようです。




そしてその木のプレートに盛り付けられて出てきた前菜は
やっぱり、素材の良さを生かした一皿でした。

お店の室内にこだわりが見られて、それと味とが一体になっている
そんな演出があるんですね。こまやかでありながら、さりげないのがまたいい。

白い店内に白い壁、白いテーブルクロス。
木の分量は少ないのに、木の温かみを
こうした形、つまりテーブルの上に触れられる形でお客さんに感じてもらう。



バターナイフ使ってパン食べていたら、
どっちがパンでどっちがバターナイフか?
上妻さんの作る形は美味しい形でもあるんですね。



お味もどれも綺麗で優しいものばかりでした。
余談ですが、出されるお料理だけでなく、ワインのつぎ方も
静かで、正確で、うっとりするような綺麗な注ぎ方でした。

そして私の目のつけどころはもうひとつ、



座った席が壁際だったのですが、
普通壁にテーブルを付けるところを、
隙間をわざと開けておいてあります。
3cmくらい。隙間を開けることで、モノが落ちたりこぼれたりする。
けど、敢えて、開けることで、ほどよい緊張感が生まれる。
それが綺麗なんだと。
これもきっとお店のこだわりです。




お食事の最後に出てきたのは、陶器の器でしたが、やはり有機的な形。
素材感も合わせてありますね。
この下に、お茶漬けがあリ、上のプレートはその薬味がのっているもの。
(残念ながらお茶漬けの写真は撮りそこないました)

こうしたお店の個性の出し方、こだわり方。
わたしも木を扱う上で、すごく勉強になりました。

最後にお店ですが、
Defi Georges Marceau (デフィ・ジョルジュ・マルソー)
福岡市西中洲にあります。






  


Posted by nobo at 17:02Comments(0)その他のこと

2014年01月22日

マンションリノベ、完成の様子

随分ご無沙汰しておりました。
それから、大変遅くなりましたが、今年初投稿です。
今年もよろしくお願い申し上げます。



というわけで、昨年暮れに工事が終わったマンションのリノベーションのご報告です。

前回のブログ記事「今度のリノベーション、テーマは“シルキーグレー”」でお伝えしていたグレートーンでまとめたカラーのLDK。
暗くなるのではという心配とはうらはらに、落ち着いてシックな雰囲気に落ち着きました。



カーテンも無地の薄いグレーの光沢のある生地。
上げ下げ式のシェードのタイプは降ろした時一枚の布を広げた状態となり、広い窓には味気ない印象になるため、横にタックをとってキャンディの包み紙のような“キャンディーシェード”のスタイルにしました。
少しデコラティブな感じはシンプルなLDKにやわらかみを与えています。




ダイニングテーブルとチェアは前回のブログでもお伝えした
カンディハウスのルント・オムのグレー色をオーダー。
そこに奥様のお好きなパープルのクッションを合わせたことで
色のアクセントが効いてカワイイ印象に。
この椅子はちなみにスタッキングできるスグレモノです。







システムキッチンはkitchenhouse。
シンプルで飽きのこないデザインが落ち着いた品の良さを出しています。



白いキッチンにキッチンパネルはグレーベージュのヘアラインを合わせ、
敢えてホワイトで統一しないのが、今回の密かなこだわり。

そして水栓金具は海外の有名メーカーのデザインものも検討したものの、
やはり使い易さや水の出方などは妥協できず、
そして見つけたのがこのTOTO製。見た目もグースネックできれい。


キッチンハウスの良いところは担当の方がお客様のご希望であれば、取扱い外のものでも柔軟に対応して、ご要望に応えるという徹底したサービスにもあります。



収納も大容量です。
(左)ダイニングテーブルに座りながら届く収納には普段使いの器を
(中)正面からは見えない、コンロの向い側の冷蔵庫横にはオーブンレンジなどの機器を
(右)天井まで全面開き扉の収納も設けてこれまでキッチンに収まりきれなかったものもすべて収納できるようにしました。

収納の棚や引き出しの位置や大きさは入れるものの大きさや使い勝手、さらには奥様の背の高さや腕の上げる位置まですべて検討してオーダー。
マンションの間取りは変更せずに収納の効率を上げ、収納スペースを広げること、地味ですが今回のリノベーションの大きな効果です。




ダイニングテーブルのサイドの壁。
インターホンやその他スイッチ関係がならぶ壁ですが、こうした壁面はキッチンの中心にあるだけに、便利さをアップ。横にオープンの棚を作り以前はリビングにあったFAXなどを置くことでより機能を集中させました。リビングからは直接見えない面なので、少々雑多になっても大丈夫。




(写真右)は以前にお施主様のご長男様宅のリノベーションの際、キッチンのサイドの壁のアイデアでいろんな収納ボックスを取り付けたもの。
とくに今回もご希望でとりつけた、白いホルダーのプレート、「Utensilo」は遊び心のあるデザインながら、いろんなポケットや小さなフックがついていて、ちょっとした文房具やメモ、鍵類などをいれたりと、キッチンまわりにあると意外と便利です。通路になる壁にも出っ張りが少ないのでおススメ。






そして今回ちょっとした変化をしたのがリビング横の和室です。


以前はこういう感じでした。
マンションのリビング横にある和室はリビングの延長として使われたり、客間になったりといろいろな用途になるための予備的な部屋になっているため、床の間もなく、もちろん柱もなく、どちらかというと敢えて「和っぽくない畳の部屋」であることが多いのですが



今回、お施主様との打ち合わせで「ウチには昔から集めた掛け軸が沢山あるけれど、床の間がない」とのお話を聞き、
それならば、と和室をちょっと「茶室化計画」することに。
といっても、替えたのは壁紙だけ。藁(ワラ)や炭が漉き込まれた和紙や唐紙調のクロスを使って純和風の雰囲気に簡単に変えることができます。そこに掛け軸のための掛け釘を一つとりつけ、スポットのダウンライトを増設しただけで、ぐっと「和の演出」が出来ました。



この時は素敵な書画の掛け軸が掛けられていました。
置物や壺などを飾りたい時は畳に漆の長板を置くことで床の間がわりに。
敢えて和室に作りこまないことで、後々この和室の用途が変わったら、また壁紙を張り替えるだけで
もとの「次の間」的な使い方に戻すことも簡単です。






そして和室入口には間接照明をとりつけました。
このマンションが出来た約15年前には間接照明を住宅に設けるのは今ほどポピュラーではなかったのでしょうね。
下がり壁23cm程度しかなくてもちゃんと光が届く後付けのブラケットを並べることで
リビングの光の演出も出来ました。





それからもうひとつ、ちょっとした工夫を。



掛け軸を沢山お持ちのお施主様だけに、
「絵も沢山あるのだけれど、掛けるところがない」
とのお悩みから、廊下をギャラリーに。



天井にピクチャーレールを取り付けることで
好きな絵を自由に掛けられるようにしました。
これで掛け軸とともに、季節ごとに掛け替えるという演出も楽しめます。







今回のリノベーションは大掛かりなものではないものの、
5年前に一軒家からマンションに引っ越されてきたお施主様が、この先長く使える便利で収納たっぷりのキッチン作り、
それからお持ちの掛け軸や絵などとともに楽しめる空間を作ることで
暮らしの満足感を上げるお手伝いが出来たのではないかと思います。

余計なモノを減らしてシンプルな生活をすること、「断捨離」も時には必要ですが、
古い家に住む私もそうなんですが、昔から家にあるものって家族の思い入れやエピソードもあってなかなか捨てられない。
でもそれをちょっと見直して、ちょっと工夫して使ってみたり飾ってみたりすることがその家らしさを作っていくのではないか、と思います。
今回のリノベーションではそんな事を学ばせていただきました。  


2013年11月13日

今度のリノベーション、テーマは“シルキーグレー”

8月からプラン作りをはじめたマンションのリノベーション、
来週から工事が始まります。




お施主様の奥様はちょうど私の母世代の方。
現在お住まいのご趣味などをみていても、
シックでエレガントな雰囲気がうかがえました。

打ち合わせを重ねていく中でお好きな色「グレーをとりいれましょう。」
ということに。
パープル系もお好きなのですが、それは一部アクセントにとりいれることに。

LDK はやや光沢のあるグレーの布目調壁紙です。(写真右)
普通白っぽい壁紙が部屋が明るくなるし、広く感じるので選ばれることが
多いですよね。一番面積を占める部分なので、やや暗くなるのではないかと
私もかなり慎重になりました。
壁紙の大きなサンプルをリノベーションのお宅だけではなく、
自分の自宅の部屋に貼って三日三晩、光の反射具合や夜のライトの下での雰囲気とか見たりして(笑)

でも、ふと見てみれば
写真の中と左の壁紙はLDKに隣接した和室用に選んだ和紙の壁紙、
和室だど、このくらいの色合い、暗いとも何とも感じない。
本物の日本家屋だったら、天井が木だったりするので、なお暗くなるだろうし。

そう考えると、いつから日本の家のインテリアって白一色になったんでしょうかね?

ちなみに壁紙の手前左にあるのは、和室ふすま用の和紙調クロス。
シダの柄です。唐紙のように見えますが、壁紙。
マンションの和室は寸法が昔の和室とは違うため、襖も大きい。
それに合わせる襖紙となると、昔ながらの紙の寸法では足りない。
もちろん、最近は大判もあるのですが、ちょっと柄の素敵なもので
大判となると、値段がかなり違ってきます。
そこで便利なのがクロス。幅が広く、長さは自由ですし、耐久性もある。
ちょっと高級なクロスでも、唐紙に比べたらコストもかなり抑えられます。

もう一つ手前右はキッチンの壁、キッチンパネルです。
これもグレーベージュでヘアライン調、ちょっと光沢があります。
(以前のブログ記事「キッチン打ち合わせ中。」の中ではキッチンの壁はタイルだったのですが、
こちらに変更になりました。)

奥はカーテン。上げ下げできるシェードの形にします。
生地はこれも光沢のある“シャンタン調”。
シャンタンとは中国の絹織物のこと。

というわけで、全体的にシルクのようなシックな光沢が高級感をかもしだす、
グレーベースで落ち着き、そこに白いキッチンが映えるようなイメージ。




そんなコーディネートですすめながら、
ダイニングセットを探しに旭川家具のメーカー、Conde House(カンディハウス)のショールームに行くと、
定番の「ルント オム」というシリーズが今年記念イヤーで
限定色でグレーのダイニングチェアを出しているではありませんか!!



同じシリーズのダイニングテーブルは円形でエクステンションにもなる。
(お二人住まいのお宅なので、来客にも対応できる、この形のテーブルを探していたのです。)
エクステンション部分の板もたたんでテーブル本体にしまいこめる、便利なタイプ。



で、こちらのテーブルもオーダーでグレー色にも出来るということで、
ピッタリ!!

で、ダイニングチェアの座面にここで奥様のお好きなパープル(写真の右下の布張りの椅子の生地)のクッション使いで
差し色、ちょっとだけカワイイ!ポイントです。


今回のリノベーションは大掛かりな間取りの変更などはないのですが、
こうしてこだわった色づかいや素材で
お施主様のテイストを実現するのは
やはりインテリアコーディネートの醍醐味、楽しさでもあります。


工事がはじまったらまたご報告したいと思います。




  


2013年10月11日

キッチン収納スペースは食器棚2個分!

6月末に完成したマンションリノベーションのお宅(詳しくは「リノベーション完了です!」をご覧ください。)に先日伺いました。




お施主様のTさんとはもともと同じ茶道教室の生徒どうし。
この日はそのお教室の先生もご一緒でした。
先生からTさんのイメージにぴったりの可愛らしいフラワーアレンジが。

プランを立てたり、工事中は随分思い入れ強く関わっているものの、
いざ終わって引き渡しをすると、そのこだわりは意外と消えるのですが、
ただ、プランした機能が本当に使いこなされているか、
役に立っているかどうかは気になります。




そのひとつだったキッチンのバック収納。
ちょうど押入れのような形。幅は240cm、
そして押入れのように中間に棚を設けただけ、
あとは上部に可動棚を設置、
という大まかな作り。
システムキッチンのカップボードのように
収納ユニットごとのセクションに分かれていないため、
使い勝手がどうか心配していましたが、




この日伺ったら、こんな風に充実した収納になっていました。




いろいろな収納を組み合わせ、
収納するモノの高さに合わせて可動棚を動かし
市販のかごや引き出しを上手く使って
スペースをきっちり使いきっている。
普段は扉で見えないのですが、
こんなに上手く収納できたら、見せる収納でもいいような出来栄え。
私自身も嬉しくなってしまいました。

今プランしているお宅でもそうですが、
最近のキッチンはオープンスタイルが大半で、
しかも家具としての食器棚を別に置くお宅も少ない、
キッチン横にパントリー(食品庫)の部屋を設けるのも
スペース的に難しいならば、
キッチン本体とは別に
キッチンまわりのモノ、食器やストックの食材、それ以外の道具関係、あわせると
この押入れ分、つまり
食器棚約2個分の収納スペースは最低限必要だと思います。
そしてこのお宅の収納のように隠せる扉があれば
いつでもスッキリ、急な来客でもOKですしね。





キッチンのカウンターにはホーローのコーヒーケトルと
いい味の焼き物の菜箸立て、
それに私がリノベーション完成時にプレゼントした
ダイニングのペンダント照明と同じ、Futagamiの真鍮の包丁立てが
いいコンビネーションで存在していました。
午後の昼下がり、お茶を飲みながら、
カフェのような居心地、嬉しいひとときでした。

  


2013年09月17日

キッチン打ち合わせ中。

あらたにリノベーションのプランに取り組んでいます。

マンションのキッチンを新しくするのですが、
ただ替えるというのではなく、
キッチンまわりをより機能的に、そしてより美しく見えるように
動線や効率の良い収納をプランしています。



そしてこの日はショールームで取っ手の形状を検討です。
宝石箱を見るかのような取っ手の数かず。



現在選んでいるメラミン素材の白い扉、壁の窯変釉タイルのサンプルを合わせ、
取っ手をいろいろと合わせてみてみます。
頭の中のイメージだけではわからない
モノの質感どうしの相性がはっきりとしてきます。



そしてこの日決めたのはこの組み合わせ。
マットなメラミンの扉に和陶器のようなタイル、
取っ手はかわいい印象の小さな楕円、
意外にも艶消しより鏡面の質感の方が合いました。




キッチンのメーカーはキッチンハウスです。
シンプルでありながら飽きがこない、
そして長年使っても古さを感じさせないロングランの素材とデザイン。
私も4年前にこのメーカーのキッチンでリノベーションをしたことがありますが
正直、ショールームの展示はその頃とほとんど変わっていない。
それだけ、スタンダードを貫いているメーカーさんなのでしょう。
根強いファンがいるのも確か。
今回もお施主様のご希望でこのメーカーになりました。




この日は水栓金具も検討です。
取っ手同様、メタル素材のアイテムはキッチンを印象づける重要アイテム。



でも水の出る高さや水の出る幅や強さ、シャワーの形状など
見た目のデザインだけではなく機能ももちろん大事。
いろいろ見たものの、この日は保留となりました。




この日はちょうどイベント中で
糸島からこだわりのお野菜や
調味料などが販売されていました。











そしてドイツ製の機器を使って作られた
温泉卵を食べながら?の
昼下がりの打ちわせとなりました。
  


2013年08月16日

テーブルとベンチの完成。

前回のブログで製作していたセンダンのテーブルとベンチ、
完成しました。




以前に製作した木と同じ種類ながら
今回は色合いが落ち着いています。

気のせいか、以前はまだ赤ちゃんだったお宅のお嬢ちゃん、
ちょっと女の子っぽくなってました。



おそろいのベンチも新たに作り直し。
こちらは反りはなかったのですが、
木が違えば色合いも変わるので。
これが無垢の素材のウソがつけないところ。
そのかわり、以前より改良もし、
脚もより安定した作りにしました。



それに前回はベンチの脚をナチュラルな色にしていたのですが、
今回はご要望によりテーブル脚と同じ黒にしました。
脚を黒にすることで、今後シャープなデザインの椅子に買い替えられても
マッチしやすいと思います。

テーブルというのは存在感が大きいだけに
色合いが変わるだけで、随分雰囲気も変わります。
今回の作り直しで、色合いが違う木になり
最初は違和感があるかもしれませんが、同じ樹種、
そして自然の木の色、それに経年変化で味わい深くなってくると思います。

「同じようで同じでないテーブル、気に入ってます。」

と後日メールをいただき、本当に嬉しく、そして安堵しました。

木は年月をかけて育った分だけ長持ちするといわれています。

新しいテーブルもご家族に長く使っていただけたら、
私も、そしてきっと木も本望です。
  


Posted by nobo at 17:11Comments(0)家具のこと

2013年07月26日

12年寝かせた木で作る最後のテーブル

今月の初めに梅雨が明けて、それから福岡はずっと猛暑続き。

自然乾燥していた板もしっかり乾燥してきました。




2001年に思い切って丸太1本買いして寝かせていた、
大好きな木材、センダン。
温かみのある色合いと深みがいい木材です。




これまで無垢のテーブルを数々つくってきたり







長さ4mそのまま使って自宅のキッチンのカウンターにしたり





その他にもお寺の看板(というのだろうか)になった板もあります。




そして今回、残っている板全部使って最後のテーブルを作ります。


というのも、昨年オーダーで作った同じ材のセンダンの無垢のテーブルが
だんだん大きく反ってきたため、作り直すことになったため。

今まで何度も作ってきて、作り方も、使う材の吟味も、いつもと同じように
行ってきましたが、やはり自然のモノが相手だと、何が起こるか
わかりません。無垢の場合、多少の割れや反りはあることなので
ご了承していただかなくてはならないのですが、
今回はその程度がちがっていました。
(画像もあるのですが、写真だとその反りがわかりにくいので割愛しますが)
反ったテーブルをもう一度バラバラにし、板状に戻して
特別に熱とプレスをかけ、テーブルに組みなおして
もともと板裏に施していた木の反り止めに、さらに補強の金物を入れましたが、
木はまるで反発するかのように元に戻ったのでした。


お客様には大変申し訳なく、そのテーブルを引き取り、
別の家具屋さんでのテーブルのご購入をご提案しましたが、
センダンのテーブルを気に入って下さっているとの事、
ありがたいことに、もう一度作り直すチャンスをいただきました。

そこで長年寝かせて反りの可能性が低い私の板でつくることになったのです。

だたし、残っている私の板は幅がやや狭いので
110cmの幅のテーブルを作るのに
何枚かを剥ぎあわせなければなりません。





今回は反らないだけでなく、よりよい仕上がりにするため、
木目のを柾目(まさめ)部分だけでテーブルをつくります。
柾目というのは、上の写真でいうと
両サイドの木目が詰まっていて、まっすぐの部分。
この部分だけを切り取り、4枚を剥ぎあわせます。
真ん中の渦状の部分は「板目」といわれるところ。
ここを使って剥ぎあわせると、いかにも剥ぎ目が目立つし、
あまり板目が目立つと和っぽくなるので、
この板目はお揃いで作るベンチに使うことにします。


それにしても今回の作り直しであらためて
木は何年たっても生きていると痛感させられました。
今度こそは、お客様に長く使ってもらえるものになりますように・・・
祈るような気持ちです。
そして、木を愛する私!としては、
木も無駄にならないように、ちゃんと使ってあげなくちゃ、
とも考えるのでした。

  


Posted by nobo at 17:34Comments(0)家具のこと

2013年07月12日

家具入りました。

今回のリノベーションでコーディネータした家具と照明が入りました。

モノが入ると少しずつ生活感も出てきます。




まずはダイニングテーブル。
無垢の板はケンパスという、南洋材。



赤みを帯びた深い色なのですが、
マメ科の木なので目が細かいため、日本のケヤキなどに比べて木目が
主張しなくて重い印象にならないし、
かといって同じマメ科のブビンガのように“ギラギラ”していない。

落ち着いた雰囲気のお施主様、Tさんにぴったり。
はるばる四国から取り寄せていただいた甲斐がありました。



そしてダイニングチェアには、ご存じハンス・ウェグナーのY Chair。
これはTさんのたってのご希望。テーブルにもしっかり合っています。
それにしてもなぜこんなに愛されるのでしょう、この椅子?
そして、日本でどれだけ売れているんでしょうね?



キッチンとの位置関係はご覧のとおり。
オープンキッチンのペニンシュラ型(半島型:キッチンの一端が壁についている形)に対して、テーブルも壁を斜めに作ってペニンシュラに。
現場では“V字キッチン”と呼ばれていましたが。

オープンのキッチンの場合、ダイニングテーブルをキッチン本体に直接
横につなげたり、あるいはT字型に置いたりすることがありますが、
こうして斜めになることで、テーブルに座っている時に、キッチンの雑多なものが目に入りにくい。



それにV字にするために、壁の一部を大きく斜めにすることで
部屋全体のレイアウトに変化を与えてくれる。
なのでリビングのドアを開けると、こうして面白い角度で
メインのダイニングが見えるのです。
で、歩みを進めるとキッチンはその奥に見えてくる。
オープン空間のLDKなのに、シーンが展開していく。



ダイニングの照明は真鍮のメーカー、FUTAGAMIさんのランプ。
インテリアショップで見つけたもので、
照明メーカーのランプにはまずない、素材のもつ力が魅力です。
このランプは、このリノベーションの初めからTさんのイメージに
ピッタリ、と決めていたモノ。



もうひとつ、FUTAGAMIのランプ。
ピアノの照明用に選んだ、表面が黒の鍛金のランプ。










黒いピアノは色はもちろん、奥行きもあって存在感があるので
両サイドにIEKAの収納棚を置いて、
リビングのこの壁面だけは黒っぽくしてシャープな雰囲気に。










それからこの日はお子さん用のベッドも一緒に搬入。
ヒノキの無垢でできたベッド。
香りがいい。体にも優しそうです。


ベッドの下にはこのように出雲の炭が
入っているんです。

もともとTさんのご希望にあったのが
「床下に炭を入れてほしい。」
マンションでは床下にスペースがないので、
あきらめていただくしかなかったのですが、
このベッドが代わりになります!
偶然大川の家具ショップで見つけたときは
嬉しかった。

家具にもいろんな役割があると感じました。





最後にこの高さ59cmというチェア。
キッチンの高さ85cmに合う椅子はなかなかないのですが、
これは雰囲気もYチェアにも合っていていい。
これも北欧のメーカー、Werner のShoemaker Chairです。
その名のとおり、もともと靴職人が使うためにできた椅子。
おしりの形に削り出されたブナの木が綺麗で
使い込むほどに味がでてきます。



これからはじまる生活に長く愛される家具が入りました。
インテリアのデザインやコーディネートの醍醐味は
施主の方とのやり取りを通して
まずは望んでいらっしゃるテイストがどのようなものか、
探しながら(さぐりながら?)最後には
「これいいですよね。」と同じ気持ちになって
共感しながら作り上げていくこと。

今回もそうやってできた空間です。

ご家族での楽しい生活、そしてさらには
ご友人を招くなど、新しい空間が
新しい毎日を作っていってくれたら
本当に嬉しいです。

  


Posted by nobo at 12:07Comments(0)家具のこと