木で出来たもっとも高度で高価なモノ
それは、弦楽器だと私は思います。
ヴァイオリンのストラディバリはその有名な例ですよね。
このブログのタイトルのバックの写真、実はこれは私のチェロのケースでして
習い始めて数年、いやもうちょっと。大人になってからの習い事なので
練習も不真面目で、上達しないままの恥ずかしいレベルですが。
始めるきっかけは、この「木でできた家具みたいなモノ」に惹かれた
というものでした。
木製の家具をデザインする私にとって、この形と精巧なつくり、
そして「木」が音を作るというのは、なんとも魅力なのです。
木の種類はこの表の顔の面はスプルース。
松の種類で、日本では障子に使われたりします。
まっすぐな木目が音を均一に出すのです。(ここからの写真は、美しさがわかるように上等な私の先生のチェロを撮影)
板の厚みは3mmほど。
無垢をここまで薄くしてさらにふくらみを持たせるというのは
通常の家具作りにはない技術。
ちなみにイタリアの楽器の名産地・クレモナでは
楽器作りの職人さんの修業はまず
「家具作り」なんだそうです。
サイドとバックはメープル(楓)の木材を使います。
美しい「虎斑模様」の縞も木材のカットの仕方で出すもので
しっかりした縞は木の質の高さを表すとか。
使っているうちに、温度や湿度によって
木が縮んだり、膨張したりして
張っている絃(げん)が緩んだり張ったりするのは日常。
要は「木は生きている」のです。
そうして、何十年、名器は何百年と使われ
木も「経年変化」をするに伴い、音も変わってきます。
名器と言われる楽器は、どんなに技術がすすんでも
熟練したヒトの手によってしか作られない、
そしてその楽器を弾きこなすには
何万時間という時間をかけて弾いてきたヒトでしか
最高の音を出すことが出来ない、
なんとも途方もないの技の世界。
人間って本当にスゴイ、ですね。
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