› 築45年の家に住む › 2012年11月

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2012年11月12日

いい木材といい技と

ふたたび福岡県大川市に家具の材料の木取り(木選び)に行きました。

今回は無垢の板のダイニングテーブルとおそろいのベンチを作ります。

このブログの以前の記事「友人宅で無垢テーブルに再会」
登場したテーブルを見た友人のご親戚のご依頼です。
友人が気に入って使ってくれているだけでも嬉しいのに、
それを見て、さらにご依頼いただけるなんて
本当にありがたい。



材は友人のテーブルと同じセンダンに。
とはいっても、木というものは一本一本、木目も色合いも違います。
今回は先日「ベッドまわりの家具完成」の際に使ったセンダンが
木目が細かく綺麗だったため、同じ木をリクエストしていました。



乾燥し、まだ製材前の粗い表面なので、色や木目は
水をちょっとかけて濡らした状態で確認します。
センダンらしいオレンジがかった暖かい色身、
木目も素直で洋風にも和風にも合わせやすい材です。



今回は二枚の板をはぎ合わせて作るため
その合わせ目に入れる「ちぎり」のサイズもご相談。
3種類サイズの違うものを紙で作って
実際の板に当てて、お客様と検討です。


ちぎりは装飾的アクセントでもあるので
通常はテーブルの材よりも固くて色のコントラストのある濃い色の物を選びます。
見せてもらったのはアフリカの「パープルハート」という材ですが
名前の通りやや紫色が強いので
おそらくより無難なこげ茶色のウォールナットを使うことになると思います。





さて、いつも訪れるこの木材市場ですが、
もちろん市場ですので、その時々で
いろんな木に出会えるのが、私のひそかな楽しみ。



幅110cm、長さ2m、厚さ10cmの杉の一枚板。
こんな大きなサイズ、なかなかお目にかかれません。
木目美しくて色味も深い。
綺麗に仕上げたら、さらに立派になるでしょうね。
こういういい材を見ると、ワクワクします!?


福岡県の天然記念物だったらしい?
杉の木が、風倒木になりそうだということで切られたとか。
いったい樹齢何年なんでしょうか?

このまま蕎麦屋さんのテーブルになったらぴったり、という感じの風格。

ちなみにこの板は売約済みだったのですが同じ丸太からとれた板は他にもあるということ、ご興味のある方はご案内しますよ。




それから、製作をして下さるところへごあいさつ。
実は欄間の製作工房なのです。
欄間というのは、お座敷のふすまや障子の上の空間に
彫刻などしてある、あれをいうのですが、
そういうものを作られるため、当然、仕事が綺麗で丁寧なのです。


伺ったところ、このようなものを沢山作られていました。



これは欄間や建具などに使うパーツなんだそうです。
和菓子か切り絵みたい。
これを木で一つ一つ作り、モチーフとして
組み合わせて使うそう。



「これは展示会とかで置いてると、女性が何に使うのか、買っていかれるんですよね。」
まるでCLATHASのロゴみたい、
でもこれは「ねじり梅」という、れっきとした伝統の形らしいです。



ちょうどこの日はティッシュボックスを注文で作っていらっしゃいました。

欄間そのものが現代の家から消えつつある今、
いろんな物を作られるらしい(私もお願いしている一人)ですが。






昨日聞きに行った落語会の中で、
新築の家を訪れる、という噺があり、その立派さを表すのに
「家は総体檜(ひのき)づくりでございます。」
というくだりがあり、はっとさせられました。

昔はいい木材を使ったり、芸術的な細工ものを家に取り入れたり
するのがステイタスだったんでしょうね。

現代の私たちも、こういう価値についても知っておく必要があると思うし
伝統的な技術を残すためにも、今の生活にも何らかの形で技や質の良さを
取り入れる事って大切な事なんだと
実際に目にしてあらためて思った一日でした。
  


Posted by nobo at 00:37Comments(0)家具のこと